第26回労働トップフォーラム参加報告

 

第26回労働トップフォーラム 参加報告

 

   日 時 : 2015年 6月 6日(土)10:30~

   場 所 : マイドーム大阪

   参 加 : 約397名(連合奈良:36名)

   テーマ : 「働くことを軸とする安心社会に向けて」

            ~組織化にむけたリーダーの情熱~

 

内 容 : 1.開会挨拶    

             公益財団法人関西生産性本部 

             評議員会 議長   辻  卓史(鴻池運輸(株)代表取締役会長)  

             

             連合近畿ブロック連絡会 

             代表幹事     山﨑 弦一 氏(連合大阪 会長)

 

      2.基調講演

             テーマ「今後の日本の行方 ~安心社会を地方から創る」

             講師 慶應義塾大学法学部 教授

                元総務大臣、元鳥取県知事  片山  善博 氏

 

      3.経営者懇話

            テーマ「これからの時代の組合像を考えるために」

            公益財団法人関西生産性本部 

            副会長 小林 哲也 氏 (近鉄グループホールディングス(株)代表取締役会長)

    

      4.特別講演

            テーマ:「強い組織・リーダーシップ・女性の活躍について」

            講師  柳本 晶一 氏(前バレーボール全日本女子代表監督)

                     

      5.閉会挨拶

               公益財団法人関西生産性本部 労働政策委員会 

               委員長  檜垣 次郎(関西電力労働組合 本部執行委員長)

 

     【概 要】

                 開会挨拶:辻  卓史(鴻池運輸(株)代表取締役会長)

 

  このところ企業業績は円安と株価上昇、原油価格の下落等により、大企業中心に業績回復。今次春闘は、労使の真摯かつ前向きな協議の結果、ベースアップや一時金の満額回答などが報じられ全体的には達成感のある春闘ではなかったかと考えている。今後はこの結果が中小企業にどう波及し、個人消費の増大にどう反映され日本経済の好循環に結びつくかが注目される。

 

 わが国は、急速に進む超少子高齢化により人口減少し、ほとんどの業界で国内市場が縮小。今後は、生産年齢人口15歳から64歳の人口減少が続くことから、世界のGDPに占めるわが国のGDPは1991年の10%から2018年には5%に低下すると言われており、このままでは、わが国の国際的地位がさらに低下することが避けられない。このような中、現在の生活レベルを維持していくには生産性の向上が不可欠である。

 

 1959年のヨーロッパ生産性本部のローマ宣言では、「生産性とは何よりも精神の態度であり,現存するものの進歩,あるいは不断の改善を目指す精神状態である。それは,今日は昨日よりもより良くなし得るという確信であり,さらに,明日は今日に優るという確信である。それは,現状がいかに優れたものと思われ,事実また優れていようとも,かかる現状に対する改善の意志である。それはまた,条件の変化に経済社会生活を不断に適応させていくことてあり,新しい技術と新しい方法を応用せんとする不断の努力であり,人間の進歩に対する信念である。」である。

 

 さて、本日のフォーラムは全体テーマとして働くことを軸とする安心社会の実現~組織強化に向けたリーダーの情熱~でございます。本フォーラムの企画実践委員会は、わが国のこれから、すなわちどのような社会像を描くのかを考え、その中で労働組合の役割と労働組合役員のリーダーシップ、心の持ちようはどうあるべきなのか、検討する一日としたいと伺っております。まさに時宜を得た提案であると思います。わが国のこれからを考えると言うことは、次の世代にどのような社会を残すのかを考えると言うことであります。わが国は東京一極集中と地方の疲弊が同時進行しており自然災害はじめ想定されるあらゆるリスクに対し極めて脆弱な姿となっております。2020年のオリンピック、パラリンピックの開催はわが国にとって非常に喜ばしいことですが、首都と地方の格差が一段と加速することが懸念されます。政府がいうところの東京一極集中の是正はその兆しさえ感じられない。

 

 われわれが進める生産性運動は、よりよい企業、よりよい社会、より高次元の福祉経済をつくることに帰結します。最終目的を常に点検することが大切です。最終的に生産性運動は人にありということを国民合意として持たなければなりません。

 

 関西生産性本部は50周年で定めた労使の信頼と協力関係の確立、改善魂の浸透、経営品質の向上という3つの使命のもと60周年にむけ、あるべき姿を追求し、様々な活動をより時代のニーズにマッチするよう深化させ世界に輝く関西にすべくその実現取り組む所存であります。本フォーラムが一助になることを期待しております。

 

 

 

 山﨑 弦一 氏 連合近畿ブロック連絡会 代表幹事 (連合大阪 会長)

 4月の統一地方選挙の取り組み大変おつかれさまでした。また、大阪市の住民投票に際しましては、連合大阪の皆さまは勿論のこと、近畿ブロックの仲間の皆さまからも大変大きなご支援を頂きました。おかげさまで大変僅差ではありますが否決することが出来ました。改めて皆さまの取り組みに敬意を表しますとともに感謝申し上げます。

 

 いわゆる都構想は否決されましたが、ご案内のように69万票を超える賛成票があった訳で、この事実は重く受け止めなければならないと考えます。これまでの大阪市政に対する不満や既成政党に対する大阪市民の欲求不満というものが大阪維新という勢力を生み、そしてこれだけの賛成票が投じられたということだろうと思っております。今後の市政改革ひいては、大阪の発展に向けて労働組合としてもその役割と責任をしっかりと果たしていかなければならないと考えます。是非、これからも皆さまとの対話を通しながら行動に移してまいりたい。

 

 さて、本日のフォーラムのテーマは「働くことを軸とする安心社会に向けて」 ~組織化に向けたリーダーの情熱~となっております。いま連合では、STOP THE 格差社会!ということで労働者保護ルール改悪阻止にむけた様々な活動を展開しています。ここでは、副題の組織化に向けたリーダーの情熱ということで、3人の方に触れましてご挨拶させていただきます。

 一人目は連合本部の中央アドバイザーであるUAゼンセンご出身の二宮さんがあるところに書いておられた言葉です。労働運動の指導者の3要件は

①仲間をつくること。仲間をつくることはまさに労働組合の本能のようなものであり、その手法は色々あるが、 

 最も大切なのはリーダーの情熱である。

②仲間を守るということ 

③仲間と共に闘うということ そもそも労働組合は格差や差別や貧困との闘いであります。日本は今や格差大国 

 となっており労働組合が果たすべき役割が大きくなっております。

二人目は、法制大学の藤村教授が労働組合の役員に求められる能力として

①現場実態を把握する力として人の話を聞くコミュニケーション能力。

②いつとは違うという問題発見能力

③現象の背景に隠れているものを見抜く原因追及能力、また、経営側に一目置かれる力・・しつこく追求できる

 粘り強さ、

歴代総理の指南役といわれた安岡正篤氏は、リーダーには丹識が必要。しっかり勉強して知識を得、そして自分の血肉として体から発する智慧すなわち見識とすることが大切。見識により、問題に行動をもって立ち向かう丹識が必要。本日のフォーラムが労働組合リーダーの皆さまにとって見識となり、行動に移し、丹識まで高める機会となりますよう祈念します。

 

   基調講演

 テーマ「今後の日本の行方 ~安心社会を地方から創る」

  講師 慶應義塾大学法学部 教授

           元総務大臣、元鳥取県知事  片山  善博 氏

 

  消滅自治体リストの発表の背景、地方分権が進まないどころか中央集権が強くなっている現状で多様な状況を抱える地方のことを政府が対応しきれていない。多様な地域の現状をしっかり把握した対応がないと単なるバラマキ商品券のような地方創生で終わる結果となる。また、東京一極集中を是正するには、官庁を大阪に移すぐらいのことをしなければならない等、するどい視点で地方創生について講演をいただいた。

 

 経営者懇話

 テーマ「これからの時代の組合像を考えるために」

 公益財団法人関西生産性本部 

 副会長 小林 哲也 氏 

    (近鉄グループホールディングス(株)代表取締役会長)

 

 近鉄ホールディングス株式会社移行について、人口減少社会への対応などご説明されるとともに、労使関係について立場は違えど達成すべき共通の目的をしっかりと確認することが大切とご自身の体験、経験に触れながら詳しくご講演いただいた。

 

 

 特別講演

 テーマ:「強い組織・リーダーシップ・女性の活躍について」

 講師  柳本 晶一 氏

         (前バレーボール全日本女子代表監督)

 

 柳本氏は、栄光と挫折を繰り返した自身のバレーボール人生と

ご自身の選手時代や指導者として男子バレー、女子バレーを率いた時代について、興味深いお話を紹介された。特にコミュニケーションをとる方法について、

色々とご苦労があったこと、また、それを乗り越えるにあたっての心の持ち方や苦労があったことで

その後に良かったことなど大変参考になるご講演を頂いた。

 

 閉会の挨拶に立つ公益財団法人関西生産性本部 

労働政策委員会 

檜垣 次郎 委員長(関西電力労働組合 本部執行委員長)

 

 四半世紀の歴史をもつ本フォーラムは全国でも唯一、生産性本部と労働組合の連合が共通開催しているフォーラムであります。第20回からは、それまでの合宿形式から1日のセミナー形式へと大きくその手法を変更し、より多くの労働組合の皆さんに参画いただき私たちが直面する様々な課題を踏まえながら、これからの労働運動、或いは生産性運動にいかしていただこうと6月の第一週の土曜日を定例開催とすることを軸としてこれまで回を重ねてきております。本年もこのように多数の参加を頂き開催できましたことは、ひとえに皆さまのご理解とご協力によるところと改めて感謝申し上げ御礼を申し上げます。

 

 

                                                                        

 

 

 

労働相談ホットライン フリーダイヤル:0120-154-052


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